行く暇も無いし、そもそもが苦手だから、と美容師に、もうちょっと、もうちょっと、と重ねて久しぶりに髪を短く切る。普段からあまり鏡を見る方ではないけれど、ふと視界の隅に映る姿が何とも気恥ずかしく、更に鏡から遠ざかりそうな気はするが、でも見慣れぬ姿にまぁ何か少し楽しくもなる。
プリンタの調子が良くないな、と以前から思っていてはいて、でも今はそれ程にプリントするものも無いと脇に置いていたが、いざプリントしようと思うと、やはり調子は変わらず、全体にマゼンタ掛かってしまい、これも安く中古で買ったものだから、と店頭へ行ってプリントサンプルを見比べてから新調。精度の違いは明らかで、色調も思っていたものに近くプリントはされたが、やはり、これはプリンタの問題では無くてモニタの問題だろうけれど、見ている色とは若干ずれる。プロファイルを作れば何とかなりそうだけれど、何れにしても使い倒し気味のノート端末は最近悲鳴を挙げ始めてハード側が壊れ始めた。まだ取替え可能部品だったり、外付けで何とかなりそうなものなので堪えてはいるが時間の問題か。
いつの間にか9月も下旬に入っていて、事務所から見えるつい先日まで底の水色を反射させていた小学校のプールも既に緑色になってしまい、自身の服装も知らぬ間に夏を後ろへやっている。そうやって春も夏も過ぎて、秋も同じ様に過ぎそう。無意味なことと無駄なこととは違うと思っていても、その区別が付かないから、結局無意味に落ちてしまう。そしてこれもまた無駄なんじゃないか、とも思う。

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前歯の隣の歯間に異物が入り込んだ感触を舌が感じ取って、楊枝で掻き出そうと試みたが楊枝の先が歯間に詰まってしまい、間抜けさに呆気に取られる。詰まった楊枝を楊枝で掻き出したが違和感は残り、過ちを繰り返すのはそれこそ間抜けだ、と歯ブラシで20分も30分も磨くが効果無し。耐えられないとコンビニまで行き歯間ブラシを買ってきて漸く異物など無いことをしぶしぶながら納得させた。シャワーを浴びて出てくる頃には、しぶしぶささえ忘れていた。
果ての闇を抱き込んでしまったような夜に、バスが2時間に1本通るような田に挟まれた道を行き来する高校生の少年が浮かぶ。浮かぶというよりは、それを、道に平行に、地面に水平垂直に立てられた固定カメラから覗いているような。大体が同じ、何かを考えてるような考えていない様な、前を見ているようで見ていないような顔だったが、見続けるうちにその変わらない表情の中に表情を見る事をし始める。たまに自転車をひいている時もあったり、傘をさして歩いていたり、バスに乗っていたり、立ち漕ぎをしていたり、荷台に人を乗せていたりする。ただ行き来を繰り返すだけの光景に、あぁ、これは記録映像なんだと気付く。白い息を吐きながら変わらない表情で少しだけゆっくり自転車を漕ぐ少年でこれは終わる。ここが果てなんじゃなくて、ここからが果てなんだ、と抱き込むまでもなく広がっていた暗闇に、なぜこんなにも幸せなんだろう、と叫びたくなった。
物語は泣く瞬間ではなくて、つまらない間にあるんだよねぇ、とぼんやりと考えていたら、テレビから、身近なことを撮りすぎている、という声が聞こえて視線をテレビに移すと、奇抜な映画で好評らしい映画監督が、もっと大胆に例えばスピルバーグのような映画を撮りたいとか...、と続けていた。身近なことってそんなにも撮られているだろうか。

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