undergarden

ストン

帰宅して椅子に座った途端、ストンと何かが身体から転げ落ちて、何もする気がしなくなった。やるべきことはあって、やりたいこともあって、でもそれらが現実的な目的に繋がらない。パラレルワールドのように違う時空間でのことのように心も身体も反応しない。転げ落ちたのは自分自身だったろうか、と、軽くなったはずなのに、重い足取りで布団に潜り込んでしまう。そういえば昨夜、軽い目眩に襲われて、身体が斜めに傾いていた。昼間、前兆だったのか、ふと、何も変わらない世界に戻った感覚に襲われていた。自転車を漕ぐスピードがいつもより速かった。徐々に捩じれ、千切れただろう要因を探るように曖昧な眠りに入り、それでも起きてみると少しはスッキリしたような感覚はあったが、夕食でも摂ろうかとキッチンへ足を踏み入れると、再びストンという音が響いて布団に戻った。辛く苦しいわけでもなく、でも、辛く苦しいわけでもないわけもなく、ただこの瞬間の無為の中の重さに耐えられず、それが刻々と積み重なっていく、当たり前に捉えていた連続性に息も止めたくなる。希望を考えてみても、それは絶望の淵へと一歩ずつ近づく足取りであって、あぁ、好きな言葉ではないな、と思いつつ、そんな字が含まれた人を思い浮かべて、また眠りにつく。夜半前に目覚めた時には流石に空腹が先に立ち、コンビニへでも行こうかと財布を手に取ったが、玄関で足が止まり、その先に足が伸びず、冷凍してあったご飯をレンジで温めて、納豆で食べた。それでもやはりストンという音の余韻は長く響いている。

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