undergarden

秋と夏と二輪

昼間に外出するのは友人が泊まりに来た日以来だから気づけば一週間もまともに太陽の光を浴びていなかった。午後二時だというのに影が大分伸びている。視覚は確かに秋を見ている。のに、まだ夏真っ盛りというような暑さ。この視覚と皮膚との差異をどうにか埋めようとしているのか短時間でころころと体調が変わる。どう対応して良いものか思案している中で、テレビから北海道での初雪のニュースが流れてる。
酒が強い方ではないから積極的に飲むこともなく、だからたまの酒の席でも同じようにあんまり飲まないでいるのだけれど、そうしていると度々、晩酌はしないの、と聞かれる。するもしないも、酒を置いていない。一日の終わりがはっきりするように仕事をしているわけではないから、まぁ今となっては合理的といえば合理的だけれど、元々は車に乗れなくなるから、ということが大きかった。好きな時に移動出来る手段を持っているのに、酒を飲むとそれが奪われてしまう。行ける所に行けないもどかしさ。東京の隙間無く埋められたような公共交通網にも似たような思いを抱くことがしばしばある。結局、行きたい所には行かないんじゃん。とは言っても便利だし、楽だし、と割り切っていたはずなのに、この夏帰省した際にバイクを薦められ、その自由移動の魅力を思い出し囚われたままひと月過ごし、結局抜けだせず教習所に通うことにした。二週間程度で取れるかな、という予想に反し、技能の予約が一週間後まで埋まっている状態で、懐かしのキャンセル待ちなど今更やってられないから、もうすぐ寒くなってしまうのだからゆっくり取ることにする。申し込んでしまえばもう取れたようなもんだ。
帰り道、幼稚園の庭に生えている銀杏の木からまだ蝉の鳴き声が響いてきた。その横に丸い大きな月。帰ってきてから今日が中秋の名月だったと知る。

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