undergarden

雷雨のあと

駅前で翌日のチケットを買ったり、本を買ったりしているうちに空は雲で覆われ、なだらかだけれど長い坂道の途中のカフェに辿り着いた着いた時には、昼過ぎとは思えない暗さになっていた。すぐに雷が鳴り、大粒の雨が地面を叩き始める。目の前の道を洪水のように流れて行く雨水を眺めつつ、バニラアイスとコーヒー。1時間程して空は明るくなって、雨も止んだ。雨上がりの気持ちの良い冷気のなので、と善光寺を抜けて城山まで歩く。善光寺は御開帳時期とはうってかわって、活気もなく誰もいない。境内に入るとすぐに晩鐘が撞かれた。身体の内側で打たれたように響く。坊さんだろうか、法被を着たふさふさとした白髪混じりの頭を水平に移動させながら、境内を竹箒で掃いていて、出来過ぎじゃないか、と暫く見入った。
城山にて車で拾ってもらい、飯綱まで焼きチーズカレーを食べに行く。食事を終えて店を出たのは7時を少し回った所だったが、まだ空は明るい。雨上がりの雲が山の中腹あたりに掛かっていて、山頂は雲の上に顔を出している。見慣れた光景が見知らぬようになった。ほんのりと赤く染まった空の色が拡散して空気自体が薄く染まり、記憶の色と現実の色に差異が生まれて、初めて見るように、あれこれと眼を向けた。見てるぞ、と。


兎に角必要そうなものを詰め込んで帰省したので、寝起きの身体には、幾ら徒歩10分の道でも辛い。途中で挫けそうになり、息を大きく吸い込むと、さらっと流れるように入る。重さとか軽さとかよりもただ澄んでいる。こんな空気の悪そうな大通りの朝のラッシュ時でも。

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