undergarden

花月

景色の移ろいを眺めていたつもりではいたがどうやら大きく抜け落ちていたようだ。時節のあれこれにようやく目処がつき改めて眺めてみれば雪は日陰に残るだけとなりフキノトウも既に開き始めていた。除雪されないため冬季不通となる林道も大小様々な枝が無数に横たわるものの気づけば車でも乗り越えられるほどの残雪となっている。空は近くなった。夜、空を見上げるも冬に入る前には疑いもなくこの季節を迎えると思っていた相手はいない。何百光年先から放たれた光は未だ変わらずここまで届いている。
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ひとつきあまり

気づけばこの場所に住み始めて丸一月経った。汗がまだ肌を覆うような夏の終わりに引っ越しを始めて、既に色づいた葉も落ち空が遠く映る初冬に入っている。未だ開封されていない荷物や始めてもいない修復が残っている。だがしかし暮らしの形は出てきたように思う。
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at under the bottom

 拾ったはずの文字が次々と消え、半ページ前のことすら記憶に繋ぎ止めておけずに本を捲る日々は、それでも時期的な問題と捉え、敢えて注釈を一々開かねばならない学術書を手に取ったが、一行すら進めない。何度も返る有様に、まるで漢文のようだと自嘲するも、意味すら取れずにただ反復しているだけとなれば、その余裕も失われる。いつからだったろうか、と思い返しても、明確に分かるはずもない。遣る瀬無い想いは、瞬間的な感情に身を浸すのには十分な理由であったと思う。そこから抜け出せなくなるとは思ってもみなかったが。
 恐れを、それが歳を重ねるということだと受け入れてきたが、知らぬ間に恐れを恐れていたようだ。毛細管を伝う血液のように重力にさえ逆い全身に広がっていた。世界が崩壊する夢をみても、誰がそれを持ち続けていられるだろうか。でも、確かに、そのような世界の上に立っているのだ。そんなことすら知らなかったのか、という声に、ずっと手の中にあった、と傲慢にもこたえるのが私だった。気づけば、この身体は鏡に映らない。手を伸ばしても、そこには主張すらしない境界が絶え間なく存在するだけだ。
 某企業CMではないが、努力が報われるとは限らないし、積み重ねてきたものも崩れてしまうこともある。それも一瞬と感じられる早さで。もしかしたらその時、世界を最もよく見ることになるのかもしれない。恨めしいほどの美しさと正しさで。
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4回目

傲りと過ちによって必要以上に喘いだ、言葉に追われる日々がようやく一段落する。このひと月で、キーボードで3万字、手書きで1万字ほどになっている。全てではないにしても、テーマに沿って、参考文献を漁って、などとやっていると、まだ慣れぬのもあり、言葉が無意識下の文字列となって失われる。その中で、残す他無かったとは言え、最後に手を付けた連句(文音)の付けのおかげで思いがけず救われた。光景から言葉を、逆に、言葉から光景を立ち上げて、それを短い言葉で綴る行為は、言葉にしたくともなかなか出来ないものを言葉にする行為に近く、それは、良い写真を見た時の感じ方に近い。イメージが、主観と客観(或いは間主観)の違いはあるけれど、1巻36句、中折り換算で18枚、と句それぞれの光景を見れば、写真集に近いだろうか。若しくは、象形文字の成り立ちを辿っているような気もする。事物や自然を象り圧縮し、それを解凍して事物や自然を知る。全く書けもしない漢字を生み出すほどに熱中する気持ちが、この行為への気持ちが、ちと分かる気がする、などと久しぶりに湯をためて浸かった湯船で浮かべてみた。
引っ越しが終わって落ち着いたら、と思っていたら春になり、夏の展示前後に告知も兼ねてと思っていたら夏も過ぎ、秋は上述のように過ぎて、また冬になってしまった。月に1度くらい、更新してないね、と言われて、そうだなぁ、とここまで来てしまった。言葉の訓練のため、という当初の目的からすると大分さぼってしまっていることになる。12月にして今年4回目。3ヶ月に1回じゃあ何となく不満が残るので、2ヶ月に1回くらいの回数にはしたいところだが、まぁどうなるかみてみよう(ライコネン風)。
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