桜
花見、という宴は二度あったが、桜を楽しんだ、という思いは無く、いつの間にか城山の灯火は消えていて桜は散ってしまったのだと遠くからでも分かった。舞い散る桜を見たかったのだがその時も既に過ぎたのだろう。昨年はえらく桜に固執していたな、と振り返る。夕方、夜中、朝方と兎に角カメラを回していた気がする。今年は結局桜に向かって一度もカメラを回さなかった。車にへばりついて色褪せて行く桜の花びらが今年の桜だった。気が付けば終わって行る。こちらが何もしなくても全ては動いている。いかん、いかん、と車にへばりついた桜を洗い流す。