undergarden

短冊

蒸し暑い一日になりそうです、と朝の天気予報で聞いたから、心して外に出ると、熱気の塊は浮いているにしても、まだ午前中だったからか涼しい風が吹いている。駅までの道の途中で左へ折れて歩いて新宿まで出ることにした。朝方に散歩をする時にも思うが、細い路地が多い。真っすぐ歩けば30分ちょっとの距離を、誘われているとしか思えないスラッとした路地がチラっと見えて、入り込んでいく。入って少し歩くとまた違う路地に惹かれて簡単に折れる。折れてから肩を落とす時もある。でも道は引き返せない、と不本意ながらも歩く。で、その先に山手通りとか大きな通りが見えてきて、申し訳なかった、と後ろを振り返ると、まったく別の通りに見えたりする。そんなで、結局1時間近く掛かり、気づけば涼しかった風も熱気に圧し潰されてしまっていた。しかし、空が遠過ぎる。
帰りに商店街に飾られた竹に吊るされた短冊を見たが、最初に目に入ったのが、お金がほしい、というものでそのまま通り過ぎる。これまでずっと、違和感のあった短冊の願いが、どこかすっと流れた気がした。

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