undergarden

行く暇も無いし、そもそもが苦手だから、と美容師に、もうちょっと、もうちょっと、と重ねて久しぶりに髪を短く切る。普段からあまり鏡を見る方ではないけれど、ふと視界の隅に映る姿が何とも気恥ずかしく、更に鏡から遠ざかりそうな気はするが、でも見慣れぬ姿にまぁ何か少し楽しくもなる。
プリンタの調子が良くないな、と以前から思っていてはいて、でも今はそれ程にプリントするものも無いと脇に置いていたが、いざプリントしようと思うと、やはり調子は変わらず、全体にマゼンタ掛かってしまい、これも安く中古で買ったものだから、と店頭へ行ってプリントサンプルを見比べてから新調。精度の違いは明らかで、色調も思っていたものに近くプリントはされたが、やはり、これはプリンタの問題では無くてモニタの問題だろうけれど、見ている色とは若干ずれる。プロファイルを作れば何とかなりそうだけれど、何れにしても使い倒し気味のノート端末は最近悲鳴を挙げ始めてハード側が壊れ始めた。まだ取替え可能部品だったり、外付けで何とかなりそうなものなので堪えてはいるが時間の問題か。
いつの間にか9月も下旬に入っていて、事務所から見えるつい先日まで底の水色を反射させていた小学校のプールも既に緑色になってしまい、自身の服装も知らぬ間に夏を後ろへやっている。そうやって春も夏も過ぎて、秋も同じ様に過ぎそう。無意味なことと無駄なこととは違うと思っていても、その区別が付かないから、結局無意味に落ちてしまう。そしてこれもまた無駄なんじゃないか、とも思う。


白く色づく息を乾いた風に攫われながら、収穫時のまま静かに並んでいる稲の切り株が左右に広がる田園地帯を横切る農業用道路を、少年はゆったりと自転車を漕いでいた。往く宛など無かった。学校へ行くようでもあるし、コンビニや友達の家へ行くようでもあったが、風に流される吐息のようにすうっと消えて行ってしまうような感じもあった。だが、少年は普段からこんな風に、3年ばかり前に舗装を直された農業用道路を往復していた。少年の目的は目的地ではなく自転車それ自体にあった。だから、どこでも自転車で行けさえすればどこへでも行ったし、自転車で行けなければどこにも行かなかった。

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