undergarden

クリプレ

23日の午後から体調が崩れだし、夜中には怠さが全身を覆い、世界争奪の夢にうなされ目が覚めると、瞼のうらまで頭痛の足が伸びていた。熱の気配を感じつつも体温計はポケットに入れて自転車を漕ぎ出すと、これが全く進まない。これは進んでいるのか、という程に遅い。仕方なく取り出した体温計は、あの印籠のように効果抜群で事態を即座に把握出来、まぁ頭を垂れた。それでも午前中は動けたが、午後になると視界が歪みだし、流石に早引きをして、メリークリスマスという声に送られながら家に帰ると、小学生以来じゃないかという40度に迫る所まで熱は上がっており、倒れるように寝る。大体はでもこれで汗をかいて治まっていくはずなのだけれど、汗も出ない。翌朝も状態は変わらず休みを取り昏々と眠ると夕方頃から徐々に熱は下がり、夜には37度台に。こうなると今度は食べていなかった分の空腹に襲われ、とにかく欲望のままに手にとって食べると、病んだ身体には高カロリー過ぎたみたいで、シャワーを浴びていたら鼻血が出た。血はお湯と混ざっても血の色をしている。こんな色は作ったことないな、と絵を描きもしないのに思う。耳を微かに打つ音は雨の音にも似ている。翌朝は体温も平熱に戻り、昼前に出社。商店街は門松やらしめ繩、餅とクリスマスは既にごみ箱の近くに積まれていた。
当初は年末の休みに入っても1日は部屋の掃除をしてから帰省しようと思っていたが、雪、という言葉に仕事が終わってすぐ荷物をまとめて新幹線に乗る。長野に帰ってみると雪は日陰にほんの少し残っているだけで、ただ恐ろしい程に寒かった。昨年まではこの中で過ごしていたとは嘘みたい。でもまぁこの休み中にまた慣れるんだろう。何れにしても辺り一面に積もった雪が見たい。


〜インフルの夢
どうやら創造したらしい世界は新たな主に取って代わられたらしく、気づけば街の趣が大分変わっていた。崩れた建物は鉄骨のつぎはぎで突貫修復され、路地は狭く住居を失った者たちがうずくまる。新たな主が街中に溢れ、軍隊という職の斡旋を始める。戦う相手を知らぬ軍は、軍以外の者を敵と見做して戦い始めた。血の臭いが街を覆い、対抗するものも長くは続かない。それをただ眺めていたら、ただ眺めていた罰なのだろうか、世界の真ん中にポンと置かれた。血の臭いがして、崩れた建物の灰が宙を舞う、荒廃した真ん中に。結局、苦しんで苦しんで、苦しんでただけだけれど、どういうわけか主権を取り戻していた。荒廃しきった世界を呆然とまたただ眺めて座って倒れた瞬間に酷い頭痛と怠さの中、眼が覚める。

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