台北
街行く若者は日本と殆ど変わらない格好をしているし、電車も東京と変わらない便利さで走っている。原チャリはかなりの無法状態で右折しようとする車の右側から平気で抜いて行くし、歩道だってクラクション鳴らしながら走る。最初に乗ったタクシーの運転手が首をブルブルと時折細かく震わせる仕草がとても気になったのだけれど、どの運転手も同じ様な動作をしていてやっと左右確認の為なのか、と納得した。日本人がかなり来ているようで、どこでも日本語で話している声が聞こえたし、現地の人に日本語で話しても伝わることが多い。日本人向けの店も多く覗いてみると価格もそれなりだったが、少し路地に入って地元の人が行くような店に入ると食事も半分程度の値段で食べられたしそちらの方が美味しい。交通費は段違いに安くて、1時間電車に乗っても日本円にしたら150円もしない。観光ポイントをがんがん巡るような観光をしたわけではないけれど、2泊3日朝から晩までフルに動いてお土産も買って使ったお金は15,000円にも届かないくらい。日本人が行く理由も分かる。国内旅行の方が金が掛かる。友人が101の展望台に行っている間こちらは階下の本屋で言葉は分からないものの色々と捲っていたが、日本では発売(翻訳)されていないものが幾つかあった。売れなくても、という感じだろうか。国内用のガイドブックを開くと台中・台南も面白そう。旅程や天候で諦めた場所もあるから、そこそこ稼げればまた行けるかな。歩き回ったおかげでマップも大分頭に入ったし。他の国にも行きたいが、それは大分稼がなきゃ行けない。
故宮博物院、龍山寺、孔子廟、九份、taipei101、迪化街、士林夜市、李製餅家、京鼎楼、九份茶坊、wellcome、誠品信義店、Just Sleep
観光ポイントを線で結ぶような移動は真っ平御免、ともう15年近く連んでいる友人だから、分かっている、という感じだったが、宣言した通りフラフラと脇道に入って歩いていた時間が滞在していた時間の多くを占めた。夜、ホテルに向かう足は重く引き摺る程にもなった。カメラを持っていかなければ気楽に観光出来るだろうか、と出発前に悩んでいたけれど、それでも持って行かないという選択が辛いな、とフィルムを買いに走ったが、いざ着いてみると用意したフィルムの半分も使わない。そのフィルムも帰りの手荷物検査でちゃんと分けて説明して確認したのに、しっかりとX線の照射を受けてしまいどうなっているのか分からない。だがまぁ写真を撮るために歩いたわけでもない。歩みの途中で撮ろうという気持ちも無い中でふとカメラを構える瞬間があるだけで、何を撮ったとも覚えていないから、もし感光していて駄目になっていても、少々挫けるとは思うけれど諦められるだろうと思う。それよりも見ている光景から浮き上がりそうな物語のことを歩みの中でずっと引っ張り出そうとしていた。あの人の昨日はどうだったろう、とか、あの犬はどこへ帰るのだろう、とか。それはたぶんこれまでの日々にもあったもので、どこへ行っても何を持ってても同じなんだろうな、と少々揺れて滑走路に飛行機が斜めに滑り込む恐怖の中で思う。