undergarden

徘徊

先月から始めたといえば始めたこれのリメイクだけれど一向に進まず、更に必要だとなって焦ってではないけれど焦っていて更に惑う。作り始めるまでに時間が掛かる方だ、と偉そうに自分を分析しているけれどだから何。音だけは依然存在感抜群で、だから視界に入らない蚊の様に疎ましくさえ思った。他人の能力を素直に認める隙も無いのに自分の否定だけは存分に出来て脳を抉り取られたのか目眩すらして一カ所に止まっていられなくて、暗くなった街を一時間程車でフラフラしてから久しぶりのカフェに行きこれって危険かもなぁというどうしようも無い話をしながら掛かってきた電話にどうしようもない対応をして、どうでもいいやと口約束で金にならない仕事の約束をして店を出るが帰る気になれずまたフラフラとする。TSUTAYAでレイアウトの変わった店内の散策をしつつDVDを物色するがどれも借りられてしまっていて、だからといって記憶に無い作品を借りる気にもなれず、危うくなのかアダルトコーナーの入り口まで行って引き返す。いつも中身を確認する雑誌なども開いてみるがこんなのどうでも良いやと閉じてしまった。ただ一冊若い写真家の紹介が載ってる雑誌だけ時間をかけて捲り、作家名は忘れたけれど全裸の高校生くらいの男子が性器を握って斜めに立ってる写真とあたしより若い女の子の作家だったと思うがそのポートフォリオが気になったがその雑誌が破れていたり何だかよくわからない黄色い液体が固まった様なものが付着していたので購入をやめた。帰る事を恐れた足が向かった先で間接視野からの情報で町田康の東京飄然という本を手に取り暫く装丁だけをただ眺め中を確認しても今は読めないな、と開かずそのまま購入。長い狩猟の末にやっと捕えた獲物の首を掲げているかの様な気持ちで誰もいない部屋に帰り、文句あるか、と雑にドアを開ける。真っ暗な部屋はあたしを取り込んでもやはり真っ暗で何も変わらず、それを望んでいたから安心するが、煌々と光るディスプレイが光の刃となって現実を突きつけてくる。ディスプレイを消し、禁じていた煙草に手をつけると吐き気を伴った目眩に襲われたが、何本も吸っているうちに以前の様になんともなくなった。でもこれでまた止めようと思う。ただぼーっとする事なんて出来なくて、自己否定を再度開始するもそれももう出来なくて、そういえば、と今年初めに考えていた構想をふと思い出し、そうしたらあの時には浮かばなかったイメージが浮かんできてこれを撮ろうと先月下旬の仕事での撮影で使用してから放置してあったDVカメラの充電を開始する。吸ってしまった煙草の処理をしてからベッドに入り、買って(狩って)きた本を捲って目次を眺めると非常に良さげで、早く食べたら勿体ないという感じで第一章だけ読んで寝た。

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