undergarden

散歩

夜が明け始めた頃、眠れずに散歩に出る。暖かくなってきたとはいえ、タバコを持つ左手はまだ冬の空気に痛さを伴いながら冷える。夜中動かず眠っていた空気をいきなり切り裂いて歩いたお返しにとビンタを喰らい眠気は春の始まりくらいの所まで飛んでいってしまった。
一人暮らしなのに、住んでいるのは実家に近い、所謂地元だからどんな道だって知っていると思っている。思っていた、か。久しぶりに歩いてみると様々に変わっていて、畑だった所がアパートや駐車場になっていたり、砂利だった道が舗装されていたりする。よく吠えられた犬もいないし、初めての彼女と別れた公園も無くなっていた。新しい道も増え、中には知っているのに忘れている道もあり、初めて通った時の先に何があるのか、どこに繋がっているのか、というドキドキ感をまた味わえたり。変わらないものは変わらないものでまだあって、それにいちいち記憶が呼び起こされる。失礼かもしれないけれど老人はこの為にも散歩をするのかなどと考える。
普段、車の速さで通り抜けてしまっているから、車の速さで捉えられる情報しか無いのだな、と実感。変わっている事にも変わってない事にも気づかず、考える事も速度に置いていかれてしまっていたのか。今知っていると言ったら、部屋からコンビニまでの道だけかもしれない。


夜中、MONSTERを見る。シャーリーズ・セロンの変わり様に驚くがそれだけかも。部分的に気になるシーンはあったが、人物の描写が表面だけという気がする。実際にあった事を描いているからか、こうなんだよ、というのが強すぎてこちらの自由が無い。これを考えると、先日観てきたMUNICHはよく出来てるのかと思う。事実を掴む事に必死だったけれど、観る側への優しさと厳しさがあった。昨夜再度観たsaving private ryanもそう。でもこれがやはり一番良かったか(3作の中で)。
夕方観ていたニュースでの「インターネットで密売」という言葉の可笑しさに笑う。言葉は難しい。

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