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歩くこと

大晦日は実家にて妹夫婦希望のテレビ番組を観て、そばを食べる。ひゅっと年が暮れて、明けて、おめでとうと皆で言ってから、くるぶし辺りまで埋まってしまう雪の中、自分の部屋まで歩いて帰る。除夜の鐘を聞きながら。
先日の季節外れの雨の日の忘年会の帰り、タクシーを止めようとする手を途中で下げて、雨上がりの道を歩いて帰った。お金を払えば確かに送り届けてくれることよりも、歩けば着くというシンプルな安心感を確かめたかった。雨上がりの大気は澄んでいて、月明かりだけで雪を冠った遠くの山の稜線がはっきりと見える。空中に残っている水分が灯りをきらきらと輝かせる。気温は高めで、もの凄く寒いってわけではなかったけれど、外気に長時間触れていると流石に寒さを感じる。が、やはりあたしの隣で速度を落とすタクシーには乗る気にはなれず、部屋まで歩いて辿り着く。50分程。色んな意味でちょっと得した気分にはなったけれど、何が変わるわけでもない。でも歩けば着くんだ、ということを再認識できたし、歩くことでしか見えないこともある。景観だけじゃなくて。
明けましておめでとうございます。今年もよろしくです。


甥へのクリスマスプレゼントのはらぺこあおむしの絵本繋がりから江國香織つめたい夜にを借りる。以前、というよりはもう昔と言った方が良いと思うけれど、冷静と情熱のあいだを借りた際にあんまりで途中で放って以来、江國香織の本には触れてこなかったけれど、この短編集は感情が空気感で表現されていてなかなか良かった。引越しやら何やらで新年早々煮詰まり気味の気持ちにフィットしたのかもしれないけれど、ふわっと雪に乗ったような心地良さがあった。ただ2008年、1本目の映画となったnine livesを観てしまうと、そんな気持ちは一瞬、今だけで十分だと一気に最後まで読み終えた。きっとこの心地良さは自分と完全に切り離された所で与えられるだけのものだろうから。

2 Responses to “歩くこと”

  1. yuya より:

    おつかれさまです。
    俺も冷静と情熱の間は放り出しました。
    なつのひかりしか読んでない。

  2. genta より:

    今日はおつかれ。
    次はOB戦かね。
    たぶん続けては読まないけど、また暫くしたら読んでみるよ>なつのひかり

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