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里帰り

ただいま、と外出から戻ると居間でカレーを食べていた妹が、たぶん破水した、と言う。その言葉と目の前の光景があまりにかけ離れていたから思わず眉を寄せてしまった。よく見れば義弟は帽子もコートも着たままで、いつもならばもの凄いペースでこちらの3倍は平らげるのだが皿の半分にも届いていないのに苦しそうで、母も少々腰を浮かしたような何だか疲れそうな座り方をしている。義弟は結局、皿半分ほどでスプーンを置いてしまったが、当の妹は雑談しつつ完食。その後も、犬を撫で、そろそろ行かなきゃ、といって頬杖をつき、また犬を撫でて、いつものように、じゃあそろそろ、と腰を上げてからも暫く話し、それから漸くというか病院へ行った。1時間後、破水だった、と連絡があり、翌日の正午前に甥が生まれる。予定日よりも20日早いが通常分娩の範囲だそうで、それがいまいち分からずに心配していたが、まだ保育器にいた赤ん坊は元気に手足を動かしていた。こんなにも小さかったのか、と何度見ても驚く。あと20日もお腹の中にいたらもっと大きくなって大変だったろうから良かった、と憔悴し切った顔で話す妹は、仕事柄なのか性格なのか、既に母親だったけれど、同じく憔悴していた義弟はまだいつもの若者で、でも三日後再び訪れてみるとその顔は父親になっており、抱く腕も柔らかくなっていた。そういえば母曰く、妹が産まれた時間とその妹の子供が生まれた時間が同じ、とのこと。
まだ2週間はあるな、とかなり余裕を取って長野での予定を翌週以降も入れていたが慌ててアポを取って片付け、その傍らでも勘弁して欲しいのだけれど日付が変わった頃にデータが送られてくる仕事で連日朝まで端末に向かっており、ただまぁこういうことは重なるのが世の常だ、とまだ雪が舞っている午前に起き、というか起こされ、荷物を整理して詰めて東京へ送り、掃除機をかけ、妹の里帰りと入れ替わりで東京へ戻る。桜が満開。散り始めているか。

少子化問題、と言いながら未だに出産が病気ではないから保険適用外っておかしくないか。

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