間
前歯の隣の歯間に異物が入り込んだ感触を舌が感じ取って、楊枝で掻き出そうと試みたが楊枝の先が歯間に詰まってしまい、間抜けさに呆気に取られる。詰まった楊枝を楊枝で掻き出したが違和感は残り、過ちを繰り返すのはそれこそ間抜けだ、と歯ブラシで20分も30分も磨くが効果無し。耐えられないとコンビニまで行き歯間ブラシを買ってきて漸く異物など無いことをしぶしぶながら納得させた。シャワーを浴びて出てくる頃には、しぶしぶささえ忘れていた。
果ての闇を抱き込んでしまったような夜に、バスが2時間に1本通るような田に挟まれた道を行き来する高校生の少年が浮かぶ。浮かぶというよりは、それを、道に平行に、地面に水平垂直に立てられた固定カメラから覗いているような。大体が同じ、何かを考えてるような考えていない様な、前を見ているようで見ていないような顔だったが、見続けるうちにその変わらない表情の中に表情を見る事をし始める。たまに自転車をひいている時もあったり、傘をさして歩いていたり、バスに乗っていたり、立ち漕ぎをしていたり、荷台に人を乗せていたりする。ただ行き来を繰り返すだけの光景に、あぁ、これは記録映像なんだと気付く。白い息を吐きながら変わらない表情で少しだけゆっくり自転車を漕ぐ少年でこれは終わる。ここが果てなんじゃなくて、ここからが果てなんだ、と抱き込むまでもなく広がっていた暗闇に、なぜこんなにも幸せなんだろう、と叫びたくなった。
物語は泣く瞬間ではなくて、つまらない間にあるんだよねぇ、とぼんやりと考えていたら、テレビから、身近なことを撮りすぎている、という声が聞こえて視線をテレビに移すと、奇抜な映画で好評らしい映画監督が、もっと大胆に例えばスピルバーグのような映画を撮りたいとか…、と続けていた。身近なことってそんなにも撮られているだろうか。
iPhoneがやはりどこかで気にはなっていたらしい。willcom03を購入。iPhoneはやはりインターフェイスが嫌。willcomでの契約手続きにて過去の痼りというか、死者の骨を掴まされて、あぁ、今も昔も一続きなんだと、分かってはいるけれど見はしない現実に脱力する。willcom03はwindows mobileなので、いらいらすることもあるが、まぁアプリを追加していけばそれなりにはなるかな、という所。ただもっとこう、microsoftはユーザに優しくなれないものか、と。携帯も規模を縮小したものの残してあるので、取りあえずは情報端末としての使い方がメインになりそう。現状を考えるとPOPメールの受信が出来るのはありがたいけど、willcomメールのアドレスを何となくミスった感があるのが悲しい。48時間待って変更しようか。