鼻
どうもエアコンが身体に合わないので、日中は窓を開け放ち、北から南へと風道を作り、その通りの真ん中に陣取るように座っている。といって、絶えず風が流れていくわけでもなく大概は暑いけれど、肌に浮かんだ汗を時折撫でる風がかえって気持ち良い。貧乏性みたいなものか。日が落ちてしまうと、網戸が無いために虫が入ってきてしまうので、窓を閉めエアコンを入れざる負えない。ただ、入れたり消したりと忙しい。肌がどうもピリピリとする。耐えられない、と外に飛び出し、散歩がてら煙草屋に行くと、蚊取り線香が焚いてあり、内ではどうも野球を見ているようで、声を掛けて、ガラガラ、とお婆さんがガラスを開けた途端、祖母の家の夏に似た匂いが鼻をついた。でも顔を顰めきる前に、身体が親しくなってしまう。どうも腑に落ちないな、とそのうち忘れ、帰る頃には離れがたくなっている匂い。いつもありがとう、と小さなライターを貰う。これで3つ目。
五年振りくらいだろうか、端末にATOKを入れる。誤変換やそもそも目当ての漢字がリストされないなどストレスに耐えられなくなった。さようなら、ことえり。