undergarden

10月

先週末あたりから部屋に籠っていた為に、天気のことなどすっかり思考から抜け落ちていたが、一段落、二段落としていくうちに雨の音が徐々に輪郭をはっきりと持って聞こえるようになった。そういえば昨日も雨かしら、その前も雨かしら、とぼんやりと残る雨の音を探るがはっきりとしない。部屋の中だけで完結していた生活を食事だけでも、と外出すると、既に日が落ち始め、しとしとと降る雨に街頭や車のテールランプが輝いている。いつのまにこんなに早くなったのだ、と思いながら、どこか鋭さを増した寒さに袖を伸ばして手を引っ込めた。
外食しても自然と思考は仕事の方に向いていて、難しい顔をしていたのか、先程までじゃれあっていた幼い兄弟の弟の視線を視界の端に感じる。見つめ返した視線の後ろに、10年前通っていた中学校のジャージを来た女の子がいて、そういえば国語の教師に「十個は”じゅっこ”ではなくて”じっこ”と読むのだ」と教わったことを輪郭を持たないぼんやりとした雨の音の中に思い出した。

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