undergarden

life day

父と子がただ話をしているシーンでも見るとやはり羨ましくなってしまう。そんな未来はあたしにはなくて、そんな幻想に取り憑かれもしたけれどやはりただの幻想でしかない。もし、という話で、生きていたとしても、やっぱりそんな未来は無かったと思う。そんな関係だったのにやはり羨ましい。
今日は父の命日で朝からお寺へ向かう。仮眠の様な睡眠で瞼が落ちそうになる運転席で母と妹の尽きる事の無いマシンガントークを聞きながら、死の直前の熱い父の手と死後の感じた事の無い冷たさを思い出す。あの時に漬け物石の様に死の上に誓いとして置かれた墓石は克明に刻まれている死を否定出来る唯一のものだったけれど、そんなもの必要ないじゃん、といつもの様に車内を飛び交っているこの柔らかな銃弾がいつの間にやら形が無くなるまで削ってしまった。今を受け入れよ、という事らしい。
しょうがないなぁ、とアクセルを踏んでいる足の力を少し抜いてこちらに向かってくる銃弾を受け止める。

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