実家に帰ると母が出かける準備をしていた。一度出て行ったが煙草を取って、と戻ってきた。作り置きしてあった夕食を盛り、TVを見ながら頬張る。食べ終わってさて、と腰を上げようとすると妹が帰ってきて、寂しい、と言いながら居間に入ってきた。なんと、一人で信州新町の花火に行っていたみたい。浮かせた腰を落として更に2時間程妹と喋りながら過ごす。途中、妹がギターを出してきたので、久しぶりに触る。指の先がもう柔らかくなってしまっていて痛い。コードも忘れた。昨日あった高校のOB会で後輩の名前すら忘れていたのだからこれも仕方無い。それ程触っていなかった。また始めようか、と思って元々は私の物であったギターを持ち帰ろうとしたが妹許さず断念する。時間が出来たら買いにでも行こうか。というか時間は作らねば無いだろうなぁ。昨日、見えない様に覆って拒絶していた気持ちが唐突に表に出てきて風雨に曝された。思わず狼狽える。どうしようもない現実にその気持ちを一旦は放り投げてしまったが、向き合わなければならない現実と拒絶する意味の無意味さが分かって引き戻した。だけれど、やはり今日一日は空っぽだった気がする。
昨夜は帰宅して座布団の上に横になったまま動けず、その後の予定はキャンセルした。何かと鳴る携帯に落ち始めた瞼をそのままにして応えてはいたが、我慢出来ずに電源を切って朝まで寝る。長く休めた為に体調は回復したがその分頭は朦朧としてしまっていて、以前のアパートの引き渡し(立ち会い)の時間の2時間も前に行ってしまい、遅い、と催促の電話を入れてしまった挙げ句、鍵を1本忘れた。
映像、写真に対しての欲求が喉元を通り過ぎようとしている。必死で堪えて胃に戻す。深呼吸をして喉から胃まで手で摩って収める。こんな事が最近多い。久しぶりに寄ったTSUTAYA。スナックのカラオケ。デニーズ。以前ならば簡単に走れたのに、と思う。ただこういった事は予想出来ていたから、だから慣れると思っていた。どうやらそうでもないらしい。まぁこれは嬉しい誤算なのかもしれない。精神的にはきついけれど、もしこれでもの凄く抑制出来たとしたら?格好良いじゃない、みたいな。今は嫌らしく口の一端が上がってはいるけれど、でもいつもは両端が下がっているのだろう。我慢する事が良い事だとは思わないけれど、あたしには必要かも。ただ、無意味には過ごさない。
デレク・ジャーマンのBlueはずっと画面が青のままだった。でもそこに効果なのか、フィルムの為なのか微妙に色味が変わる。内容は覚えていない。
忙しさの為か自分を見失っていた。ふと振り返ると踏みつぶされた空のペットボトルの様になっていた。
ほぼ徹夜して動き回った今日、何が残っただろうか。虚しく通り過ぎる会話の断片や身体に溜まった疲労。そしてまだまだ何もしていない、という実感。
沈まない様に仕事に向かい、その分ストレスが増して、仕事に向かう。悪循環を繰り返しているのは分かっているのだけれど、麻薬の様になってしまった仕事が手から離れない。無理して遊ぼうとしてみるが、気付けばその時間すら無い。
どこかで諦めて、どこかで縋り付く。弱さ、強さ、では無く、まずこの中途半端さが問題だろうか。
どんどん嫌な人間になっていく自分の本質だけはやはり守らねば、そして育まなければ、と思う。
何年か振りにびんずるへ行く。生徒が連を出しているという事で差し入れを持って行ったが発見出来たのがタイミング悪く休憩終了直後だったので、たぶんパピコは溶けてしまっただろう。まぁ焼酎は大丈夫だったろうけれど。生徒の連に混ざろうとしたが、途中からじゃやはりノリに付いていけないし、学校じゃそんなキャラでも無いので離脱。とうか、気持ち悪くなってきていた。兎に角帰ろうとしたのだけれど、警備員と人によって道は封鎖され通りが渡れない。頭痛でいい加減我慢ならなくなったので連を横切り、良く行くカフェへ避難する。着いた頃には疲弊しきっていてどうしたのと言われる始末。びんずるの踊りが終わって街が空いてきたのを狙って帰宅する。家に着いてソファに横になるともうそこから一歩も動けず。吐き気がしていたけれど、それさえ立たせるには至らなかった。
回線の問題もあったので早々に環境構築を終えて、生活するのに最低限のものは揃えて、前より大分狭くなった部屋での生活を始める。暑さと騒音、その他の精神的な問題からも解放された。環境を整えるのは大切。ただ、まだ前の部屋から全ての荷物を運び出していないのと、それからの掃除を考えるとどうしようも無く怠い。まぁでもまだ1週間あるから大丈夫か。タイミング良く遂に、とRX-7を牽引した次の日に納車になったインテグラは未だ慣れないでいる。FRしか乗ってこなかったのでFFはちと気持ち悪い。曲がらないし。何故か保険料上がるし…。ただ速い。そのうち警察に捕まるんじゃないかとヒヤヒヤしている。色んな物が一気に変わったけれど、その分プレッシャーは凄い。ただ変わったのは物だけで無く、自分自身もだと思う。自分の潔癖な一部から言わせれば汚くなった。汚れちまった。ただそんなものは悪魔の囁きでしかないのだろうけれど。