rush
日々、刹那的に何かを思って暫く手が止まり、でも、自然とまた元に戻っていく。布団に潜ってから、そういえばなんだっけ、と思い返してみるが、まるで夢だったかのように、ぼんやりとした映像が指の間から零れていく。朝、起きるとき、頭が鈍く痛む。
混みようはある程度知っていて覚悟はしていたが、ホームに着いて、電車が入ってきて、驚く。この路線の夕方のラッシュはこれほどか、と。正に殺人的。流石に乗れないと2本ほどやり過ごしたが、約束の時間もあったので、周りの真似をして飛び込む。もう入らない、という所に入ったと思ったのに、次から次へと人が押し寄せて、どんどんと奥に押されていく。目の前に小さなおばさんがいて、その上に覆い被りそうになるのを必死で堪える。電車が走り出すとそれぞれ、窮屈なりにも居場所を確保したのか、少し落ち着いたので周りを眺めてみると、銘々割と自由に過ごしている。こちらは吊革にもありつけず、フレームを掴んで項垂れて、駅に停車する度に目的の駅でもないのに降りたくなる気持ちを必死で押さえる。隣のOLは携帯で部屋探しをしていて、辛いですよね、と勝手に共感していたが、それもわずかな間だけで、降車駅に着くと、人を掻き分けるようにして降りていって、何となく、項垂れたままの自分が少し情けなくなった。
何も考えない時ほど身体は軽い。羽が生えたというよりは、煙になったようなもので、気にしていないと消えてしまうような感じの。寝起きの頭痛は、だから、身体を確認するために今は必要なのかもしれない。
カメラが壊れたっぽい。パソコンが壊れたときは瞬間的に一気に凹んででも仕方がないという諦めが割と早くつくけれど、カメラはじわじわと来る。ため息をつく度に沈んで行く。いっそのこと粉々にしてしまおうか、という気も起きない。