undergarden

今日は雨だと、ほぼ間違いなく雨だと、予報を見ていたので、いつもとは違って、ちゃんと傘を持って出る。いつもは、大丈夫でしょ、と出て行って、大抵濡れて帰っていた。だから傘を持って行ったのに。
打ち合わせの帰り、新宿で乗り換えだったので、まぁ、じゃあ、と紀伊国屋書店へ行く。近所、というか部屋から駅までの道のりにはブックオフしか無いから、考えてみれば大型書店は久しぶり。まずは資料探し、と目的の階へ行って参考書などを物色するが、良さげなものが無い。無いというよりは、必要な情報に触れているものはあるが、本当に触れているだけで、その他の余分なものが多く買う気になれない。網羅的だけれど浅い。金出すからさ、と楽をしようとした罰か。やはりネットでピンポイントで探した方が、ヒットしたテクストが全て正しいとは限らないけれど、遥かに情報は多いし深い。でも、この本のこのページとあっちの本のあのページと、と組み合わせられるようにならないかしら、とも思う。まぁこれは何にでも言えるかもしれない。久しぶりだったというのもあったのだろうけれど、結局、あれやこれやと全ての階を何度も巡り、色々と手に取って、1時間半近く過ごし、小説を2冊買って出る。先日、2000円の本を買おうとして、そんな高い本は駄目、と警告されてしまったので、1冊ではそれを下回るもの。
雨は結局降らなくて、結局2時間近く立ちっぱなしの身体を支える為だけに傘は使われ、部屋に入ってコーヒーをドリッパーで落としていたら、ポツポツという音が聞こえてきた。

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輪島

調べると能登半島地震が2007年3月25日だったというから、訪れることを決めてから2年経ってしまった。旅行の計画を立て始めて、春のイベントが終わってからと決めた矢先の地震で諦めたまま、その後、自身の状況も許さず月日は過ぎた。そんな輪島へ。ETC割引だし。当初は辿る道の途中に宿をとって能登半島を巡ろうかと思っていたが、ただ移動で疲弊する観光になりそうだったので、輪島で連泊にする。ただ、往路は寒ブリの氷見(今はホタルイカ)や七尾に寄る能登半島の東側を上り、復路は門前、羽咋の西側を下った。輪島では徒歩とコミュニティバス。漁業の街だからか、平日でも昼間は休日の様に人がゆったりとしている。が、夜は早々に更ける。一泊目は宿で夕食をとったが、二泊目は外で食べてみようと出てみたがありつくまでに苦労した。帰りは朝から雨で、霧が海を覆っていて、海の無い土地で育ったからか、それが新鮮で帰路は海ばかり見ていた。
家族に輪島塗の箸やお椀を土産に買って帰るが、渡す時になって、やっと、自分に何も買ってこなかったことに気づく。

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逆転

5日目にして既に布団に入るのが朝方になり、起きるのが正午になった。この生活の変化の為だろうか、空腹が来ない。昨日、カレーという単語を電話口で聞いて、大量にカレーを作ってみたものの、一向に鍋から減らず、今日は結局日付が変わる頃まで菓子パンひとつで十分だった。これはまぁこれで、と思う反面、まずいぞ、という気持ちもあり、F1を見ながらゆっくりとカレーを食べてみたが胃が怠くなる。怠さが抜けてきた朝方、動いていないからか、と散歩に出た。暦勘定でそろそろ散り始めたか、とカメラをぶら下げて行くがまだ満開。明るくなり始めたとは言え、まだ暗く、でもなんだか絞って撮りたいな、と小さな噴水を囲んでいる岩の上にカメラを置いてシャッターを押すと、ミラー音が岩に反響したような異様に大きな音になる。噴水は乾いていて水はない。新宿くらいまでは響いたんじゃないかしら、という残響の中、時折、新聞配達のバイクや自転車、ポストの空くカチャっという音が遠くから聞こえる。空はみるみるうちに白くなり、犬の散歩やどこに畑があるのか、農作業の格好をした人が出てくる中、空腹よりもやはり眠気が先に訪れて、部屋に戻った。空腹はまだ来ない。

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春雷

振り返れば、割と何だって一瞬で、また、今日から所属無し。暫くは何も無いな、と踏んでいたけれど、タイミング良く仕事の話をもらって、午前中には起きる。夕方過ぎには戻ったが、さて、と仕事を始める気にはなれず、先週の土日は休んでいないから、と今日、明日は休日ということにした。
時計を見て過ごしていないから正確な時間は分からないけれど、夕方ではなく夜、完全に暗くなってから、空が光る。4月になった途端に雷。もし、今日、出勤していたら、この雷の中、自転車で帰っていたかもなぁ、と思う。まぁたぶん電車だろう、とも思いながら。ゆっくりと思う。
昨夜は曖昧に布団に入り、朝方にすくっと起きてつけっぱなしだった諸々を消し、再び布団に潜った。そんな浅い眠りだったからだろうか、懐かしい面々を夢に見る。同じシナリオに登場していても、現実と変わらず、それぞれが触れ合うことはなく、私、というだけで繋がっている。夢では寧ろ私自身がそれぞれを離そう、離そうとしていたようにも思える。出来るだけ顔を合わせないようにして、合わせてしまったら言葉を交わさないようにして。言葉を交わそうとした瞬間に起きた。

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転ぶ

歓送迎会で帰宅が夜中になり、欠伸も止まる暇もない程眠かったから一度は布団に潜り込むが、でもシャワー浴びたいな、と這い出た。そのまま寝ていれば良かった、と今は思う。ここの所の気持ちを落ち込ませる懸案をボンヤリと浮かべながらシャワーを浴びて、さて出ようか、と足を伸ばした瞬間、足を踏み外したようにつま先からツルっと滑る。あ、転ぶな、という意識はあるものの、眠気と懸案でその時には既に諦めていた。身体がドンッと叩き付けられる。一応、頭は打ち付けずに済んだものの膝と肘に激痛を感じて、諦めの中でもそれでも少しは堪えようとしたのかそれとも反射だったのか、手先が丁度スイッチに触れたようで、電気が消えた中、膝を抱えることも出来ずに転んだまま踞る。拭うこともなく流れ落ちる水滴は徐々に冷えて、身体を冷やしていく。痛みからというのもあるけれど、もう何か色んなことに悲しくなって立ち上がれず、やっと起き上がった時には、身体は冷えきっていて、皮膚がパリパリと裂けているようだった。立ち上がって電気のスイッチを入れると、床に打ち付けた右足の膝は膝の上に膝が出来たように腫れ上がっていて、それほど痛みを感じてはいなかった左足はサッシ部分に丁度打ったらしく脛のあたりが小さいけれどパックリと皮膚が割れていて、そこから血が溢れていた。拭き取って、取りあえずティッシュを当てて、ガーゼや消毒液を探すものの見つからず、ティッシュをテープで軽く止め布団に入るが、痛みで簡単には寝付けず、朝方にやっと薄い眠りに付けたようだった。